美篶堂×いのちの木「本づくり学校」基礎科5期の2回目の授業は「こうき綴じ」です。
2017年4月22日、横浜の「いのちの木」で本づくり学校基礎科5期の2回目の授業が行われました。
授業に先立ち、上島先生にはサプライズで花束が贈られました。
これは、先日、日本タイポグラフィ協会の「第16回 佐藤敬之輔賞」を、美篶堂が受賞したことのお祝いです。
応用科2期生を代表して石黒さんから、上島先生に花束が贈られました。
◆特定非営利活動法人(NPO) 日本タイポグラフィ協会◆
http://www.typography.or.jp/index.html
2回目の授業のテーマは「こうき綴じ」という、和装本の技法の一つです。
「四つ目綴じ」とつくり方は似ていますが、装飾性のあるかがり方が特徴です。
和紙を一枚一枚折っていくときには「折ヘラ」と呼ばれる道具を使います。
折りヘラの材料になるような太い竹は、近年、数が減っていて、竹細工の職人も入手するのが難しくなってきたそうです。
折りヘラの持ち方や角度、動かし方など、たくさんのチェックポイントがあります。
すべての本文用紙を折ったあとは、「水引き」や「水寄せ」と呼ばれるプレスの工程です。
この技法は和装本独特のものだそうです。
和紙を水で濡らすことで、大きな力をかけることなく、しっかりと折り目をつけることができるようになります。
本文は、最後に「こより」で仮綴じして、完成させます。「こより」は漢字では、「紙縒り:紙を縒<よ>る」と書きます。
実はこの「こより」をつくるところが、多くの生徒さんが苦戦するところです。
しっかりと固く縒られた「こより」
本文の仮綴じの次は、いよいよ「表紙かけ」「糸かがり」と工程が進みます。
「こうき綴じ」は「四つ目綴じ」よりも綴じ穴が2つ多く、6つの綴じ穴に順番に糸を通していきます。
少しだけ複雑な綴じ方ですが、落ち着いてやれば大丈夫!
完成した「こうき綴じ」の本。端材でつくった「しおり」は、家でお留守番をしているお子さまへのお土産にするそうです。
「こうき綴じ」は「康煕綴じ」や「高貴綴じ」とも書き、大型の和装本などに用いられる技法です。
家系図や芳名帳、大切な作品集などにも使ってみたいですね。
文・写真:本づくり協会サポートスタッフ(R2)